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その他の高齢者住宅
講師:山中由美
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、福祉住環境コーディネーター、NPO京都府認知症グループホーム協議会監事、など
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  その他の高齢者住宅

     メリット・デメリットを十分に確認を  制度や規制はこれらの分野

 
有料老人ホームのようだけど、有料老人ホームではない」高齢者向けの住まいが激増しています。特に「高専賃(読み:こうせんちん、正式名称:高齢者専用賃貸住宅)」がとても増えていて、認知度も高くなってきました。2010年5月からは、高専賃など高齢者向けの賃貸住宅は、全て「登録」制となります。有料老人ホームに比べると、まだ制度や規制は整備されていませんが、行政に登録している住宅を選びたいものです。有料老人ホームに比べ、メリットもありますが、自分の希望に(将来を含め)沿わないというデメリットもあります。十分に、他の施設と比べて検討して選んで下さい。

●有料老人ホームとそれ以外の高齢者向けの住宅
 
 
  介護付有料老人ホーム 高専賃 分譲型シニアマンション
契約形態 利用権 賃貸借契約 所有権
生活サービス 食事、入浴、レクリエーション、健康管理など 原則なし/事業者によって別契約であり 原則なし(マンションのテナント等)
介護サービス ホーム内の職員により介護サービスが提供される
介護保険 特定施設 居宅サービス(※) 居宅サービス
コミュニティ 参加自由ながら様々なプログラムが用意されている 原則なし 原則なし
費用 入居金はゼロから数千万円まで幅広い 月額は20万円前後(居住費と食費)が多い 敷金は家賃3ヶ月程度が多い。月々の費用は家賃と管理費で高め(食事などはつかない) 住宅取得時は高額。管理費は高め
管理・監督 都道府県福祉窓口
(厚生労働省)
都道府県住宅窓口
(国土交通省)
 
 
●同じようなサービスがついていると見えても、違うことをよく理解する

高齢者の施設は、一見どれも同じように見える場合がありますが、施設・住宅の種類により、さまざまな違いがあります。
上記の表は、有料老人ホームとその他の高齢者住宅で、よく見る「高齢者専用賃貸住宅(以下、高専賃)」「分譲型シニアマンション」を比較してみました。もちろん、全てがこの通りにあてはまるわけではありませんが、ざっくりとした分類ではよく見られる特徴です。
 
 


<高専賃>

高齢者のみを入居対象とした「賃貸住宅」です。昨今とても増えてきています。 基本は「賃貸住宅」であることを理解しましょう。契約形態は「賃貸借契約」となり、有料老人ホームで中心的な「利用権」より権利は民法で保護され、強いものがあります(契約した居室に住み続ける権利)。 広告などを見ていると「介護が付いて安心」などと書かれている場合もありますが、食事や介護サービスは原則、他の事業者から提供されます。 よって、高専賃の場合、特に重要視すべきものは「契約書」です。

   ・建物賃貸借契約書
   ・サービス契約書


と、部屋(建物)のハードの部分、 食事、生活支援、介護サービスなどのソフトの部分は別契約です。いずれも重要事項をきちんと説明を受け契約内容を確認しましょう。 高専賃は、単なる部屋を貸すのみというタイプから、他のサービスをつけているものまで大変幅広く、また自立者向けのタイプになっていたり、介護専門で介護型有料老人ホームと同じように見えるものまで、いろいろとあります。

利用する介護保険は、一部の「特定施設」の事業指定を受けている高専賃以外は、全て「訪問介護サービス」を受ける居宅介護となります。将来、介護が重度化した際に、充実したサービスを受けようとすれば非常に費用が高くなる場合があるので、きちんと確認しておきましょう。

なお、2010年5月より、高齢者居住法にもとづき、基準に合うものは都道府県への登録制となります。高専賃を選ぶ場合は、都道府県に登録がされているものを選ぶようにしましょう。
 
 
<分譲型シニアマンション>

以前は、分譲型の有料老人ホームもありましたが、さまざまな課題が現在ではほとんどありません。かわりに、分譲型シニアマンションという名称で昨今見られるようになりました。 しかし、「シニア」という言葉を除くと「分譲マンション」であることに注意です。
あくまでも「分譲マンション」であることを理解しておきましょう。

所有権は上記の表の施設の中では一番強いものです。広告などでも「財産となります」とうたわれているものが多くあります。しかし、サービスは全く別と考えるべきです。クリニックや介護サービスが併設とあっても、あくまでもテナント。マンション販売事業者が、入居者の世話に責任をもつわけではありません。万が一、テナント先が撤退するケースも考えておかねばなりません。またその契約も、自分自身で選択し契約しなくてはならず、結果的に「自宅にいる」のと変わりません。

シニアマンションは財産になるけど、「売却しづらい」「相続が大変(管理費が高く子ども世代が入居することも考えづらい」などの相談もあり、十分に資産価値などを検討してください。
 
 
<その他>

「無届有料老人ホーム」が問題になっています。都道府県が無届先への指導をしていますが、難しい問題もあります。老人福祉法では、1人でも高齢者を住まわせ、食事や介護などのサービスを提供すれば有料老人ホームに該当するので届け出るよう指導しています。 自分が選ぼうとしている施設・住宅はどの種類なのか、万が一のトラブルの際、どこに相談できるのか、など将来を見通して考えることが大切です。
 
     
 
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