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講師:山中由美
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、福祉住環境コーディネーター、NPO京都府認知症グループホーム協議会監事、など
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  設備

    本当に必要なものかどうか?
    必ずほしいものがあるかどうか?

 
人間が受け取る情報の80%は「目」からといわれます。
ということは、目から入る情報で判断しがちであるということです。
設備面は、どうしても「目」だけで判断しがちです。若いときの「住宅選び」と異なり、高齢期の住まいは、安全・安心が最重要。また、「将来心身がもっと弱った時も大丈夫か?」という視点が大切です。 通常、施設・住宅の見学は元気なときに行きます。その状態での確認でなく、将来の介護の状態も想像しながらチェックしてください。

●自立型タイプの設備

自立型の有料老人ホームは、マンションと同じような雰囲気がほとんどです。しかしマンションと違うところは大きく分けて次の点です。

 ・専用居室がマンションほど広くない
 ・共有で使える設備がとても多い


ホーム探しの人からよく言われるのは「部屋が狭い」ということです。しかし、よく考えてみましょう。住み替えの理由はなにでしょうか? 安心や安全、将来の心身が弱った時に対応など、が目的であれば、今と同じ広い部屋は、適しません。
心身が弱ると、広い部屋を掃除するのも大変です。専用居室内の移動(トイレなど)だけでも短い動線のほうがラクです。通常、お風呂は専用居室についていますが、入居者の方にインタビューするとほとんどの方はお風呂が「物置」になっています。皆さん、共同の大浴場を使います。
広いお風呂で仲間と一緒にのびのび。なんといっても、掃除が不要です。

専用居室は、最低限のプライベートと割り切ることも大切です。
その分、共有設備が充実しているのが特徴。
大浴場、レストラン、娯楽・趣味の部屋、売店などがあり、豪華なところではプールやゲーム室なども。応接室などもいくつか用意されているので、来客時は自室でなく共有の部屋も使えます。極力自室での手間を除けるという特徴があります。

<自立型タイプの居室間取りの例
      自立型タイプの居室間取り例

●介護型タイプの設備

介護型は、自立型とがらりと変わって、ほとんどがトイレ・洗面が付いたワンルームタイプです。入居金などの費用の差があっても、部屋のタイプは大きく変わりません。おおよそ18㎡程度が多いようです。

要介護の方の場合は、部屋が広すぎると転倒などの危険性もあり、すぐ手を伸ばせば壁が支えになるという考えもあります。また、自分で料理をすることもないので、キッチンは原則ありません(昨今は一部で洗い物程度ができるミニキッチン付きもあります)。お風呂も介助が必要なため、介護保険にのっとり、共有の浴室を使います。

介護型のトイレに対する考え方は、いろいろあるようです。 いっときは、カーテンでの仕切りが多く見られました。用を足すときにカーテンだと素早く対応できるということがあるためです。しかし、カーテンだと臭いやプライバシーの問題、さらに、上記と同様に利用者が、カーテンを支えとしてしがみついた場合、固定されていないので転倒の危険が大きいといったことも言われ、最近は通常のドア(スライド式の利用しやすいもの)が多くなっています。

ベランダや窓は、利用者の認知症の状況などから、家族に相談の上、施錠するもしくは少ししか開けられないようにしているなどもあるようです。

共有設備としては、食堂や浴室、リハビリルームなどがあります。浴室もかつては、大浴場で数人ずつ入浴ということが多かったのですが、最近は一人一人家庭のお風呂に入るような個浴室が多くを占めるようになりました。また介護の段階に応じて、リフト浴、シャワー浴、機械浴など、の設備も取り入れています。介護が重度化した時も気持ちの良い入浴ができるかどうか確認したいですね。

<介護型タイプの居室間取りの例>


      介護型タイプの居室間取り例

●共通の確認ポイント

老人ホームには、必ず居室に「緊急通報」があります。自立型、介護型いずれも、

  ・トイレ
  ・お風呂
  ・寝室(ベッドを置く位置)


です。
この緊急ボタンが使いやすい位置かどうかも確認を。ベッドサイドは病院のナースコールのように紐型になっている場合が多いようです。お風呂やトイレは押しボタン式ですが、万が一倒れた時、気分が悪くなったとき、押せる位置にあるかどうか、確認してください。
当編集室で以前リサーチした際、トイレの後ろの壁に緊急ボタンがある施設がありました。 いざというときに押せる位置ではありません。
 
     
 
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